失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】




「言いたくなければ…無理に言うこ

とはないから…自分の中で確認出来

ればそれでいい」



彼が僕に言った

いつものように的を得たアドバイス

でももう遅いんだ

言いたくないことは崩れ去って

確認すべきことは

なんだろう?



僕はバカみたいになにも言えず

なにか言おうと口を半分開けたまま

彼を見つめていた



なにも

ない



自由…だ…



青い空が見える

鳥は…自由だ…

悲しい人を慰める歌を

もう歌わない



もう誰かのそばにいなくていい

悲しい人を慰める歌を

歌わなくて…い…い…



「あはっ…あは…あはははは…」



その時半開きの口をついて出たのは

なぜか笑いだった