失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】




そして彼は僕に問いかけた

「折れたら無くなると言った君の生

きる意味とは?」



僕は黙った

わかりきっていたことだから

彼に言いたくないから

セラピーの意味がなくなるけど

言えない



僕の生きる意味は

兄貴だから



兄貴…だか…ら…?



そう思った瞬間あの写真の兄の姿が

脳裏にフッと浮かんだ

不意を突かれて僕はうろたえた


僕の…生きる意味は

あ…



いま僕はなにを思ったのだろうか?



わかりかけた答えを

瞬時に思考から切り離していた

でももう遅かった



(どちらの兄が?)

(愛し合ってた過去の兄?)

(記憶のない今の兄?)

(それともどちらも?)



(僕は誰を愛してるの?)



止めようとしとも止まらない自問

答えをそらすための問い

見たくない

混乱してる

どうしたらいいんだろう

いや

どうしようもない

だって僕にはもう