失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】




「料理するの?」

ふと聞いてみた

「しない」

僕の周りの男共は料理が嫌いらしい

「トーストは…美味しいよ」

「枚数と分数がトースターに書いて

あるのになにを間違える必要がある

んだ?」

それでも焦がす人もいるし

「書いてあれば…出来るんだね」

「レシピさえあればとりあえず何で

も作れる…しないだけだ…出来ない

わけじゃない」

言い訳か自慢か判断つかないことを

嬉しそうに説明してくれた

でもマニュアルに書いてあることを

その通り出来る…というのは

出来そうで案外難しいよね…と

専門学校のミキサー実習なんかを

思い出しながらそう僕は思った

頭が良いのは何事にも有利だ



「なんでミルクティーにそんなにこ

だわるの?」

素朴な疑問

「私の売られたかの国では毎日3回

以上のティータイムがあるんだぞ…

不味い紅茶なんかなかった」

そう言うと彼は少し遠い目をした

「そんな美味しい紅茶…飲んだこと

ないな…」

僕は何気なく言った

「それはかわいそうだな…」

彼はその後をなにか言いかけたが

珍しくやめてしまった