「あの女は巧みに私に好意を持って
いる振りをして私の素性を探ろうと
していた…私も同じ手で彼女に迫っ
た…嘘の愛を互いに囁いているうち
に私は本気になりかけていた…彼女
の方が一枚上手だったのだ…自分で
もマズいと感じ始めてていたその頃
もう一つのチームがニセの情報を流
し陽動を成功させ内通者があぶり出
された…それをあの女は私より先に
知った…そしてなぜか私に諜報員の
居場所を私に教えた…内通者が吐く
前にこれで出世しなさいと言わんば
かりに…そしてその直後…彼女は姿
を消した」
一気に語られたあと
しばらく沈黙があった
語る人の心の空白を表すような
「防諜は成功した…私の情報は内通
者の吐いたものと一致…あの女の情
報はガセネタではなかった…私は上
司からよくやったとほめられ組織か
ら評価を受けた…だが私は成果に対
する評価を素直には受け取れなかっ
た…それすら彼女の手の内にあるよ
うな違和感がそのあともずっと私を
悩ませた…」



