新たな疑問を抱えながら
その直後僕と父は目的地に到着した
二人で所長に挨拶したあと
寮の部屋に案内され荷物を運んだ
今日のスケジュールは夕方までなく
夕食の時に食堂で寮のメンバーに
紹介してくれるということだった
部屋の鍵をもらい管理の仕方を
スタッフから教えてもらう
新しい環境の戸惑いや新鮮さより
兄の消息の手掛かりに気を取られて
気がつくと上の空だった
父は用事があるので早々に帰宅した
「興信所は兄ちゃんの親父のことは
詳しく調べていないぞ…兄ちゃんの
叔母さんには会った…だが消息につ
いて訊いただけだな…葬式のあとは
全く会ってないとか言ってたけどな
お前の担当の彼に伝えておいてくれ
素人の意見も役に立つかも知れねぇ
しな」
父はそんなことを言い残して
じゃまたなーと僕に手を振り
愛車をふかして帰って行った
担当の彼…か
死んだ元カレをまた調べなければ
ならないなんて
因縁…ていうんだろうな
こういうのって
彼自身の撒いたタネとはいえ
彼には色々な意味で厳しい事件だと
また少し心が重くなった
「なにボーッとしてるんだ?」
後ろでいきなり声がした
ビクッとして振り向くと
彼が部屋の戸口に立っていた



