「まだ…無理なんでしょうか…設備
のない自宅ではこの子はまだ暮らせ
ない状態なんでしょうか?」
母の問いかけに彼は
慎重に言葉を選んで答えた
「それを確かめるためにもこちらに
お帰ししたのですが…移動中に少し
不安定になられましたね…」
どうやら彼は兄についての話は
母にはしていないようだ
あんなことを聞いたら離脱症状が
無くてもパニックを起こすのは
当たり前なんだけど
彼は本当に僕にあのカフェでの話を
するためだけにこの外出を考えた
みたいだ
「あとは息子さんの状況と…息子さ
んがどうしたいかですね…不安なら
しばらく休んでからまた連れて帰り
ます」
「申し訳ありません…父親があと少
しで仕事から戻りますので…せめて
顔を見てからにして頂けますか?」
「ええ…それは問題ありません」
母は急にあわてて言った
「あっ…すいません!どうぞお座り
下さい…お茶も出さないで…すみま
せん」
「ああ…いえ…お構い無く」
彼の口から「お構い無く」とか
普通の会話がとても不思議に思える
「気分はどうかな?」
彼は僕の寝ているソファーの
足元に座り僕に話しかけた



