失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】




「そこに牽制…?」

「そう…ヒットだ」

彼はニヤリと意地悪そうに笑った

「止められたのは閲覧者の履歴の調

査…だってそうだろ…外部の人間は

普通はアクセス出来ないんだからな

できるのは身内だ」

身内って…

「それ…警察?」

「ただの家出が捜査の対象になるな

んて誰も思わなかった…身内はな…

だが君が別件に巻き込まれたことで

状況は変わった…向こうは強権を発

動…だが私はこれを逆手に取れる

秘密の場所を暴露したも同然だろ?

力の有るものは策略に乏しい…ねじ

伏せてくる…下手すると殺されかね

ない危険性もある…だが情報戦とし

たら隙だらけだ」



ウェイターが二杯目のブレンドを

運んできた


「深く静かに潜航する…私の大好き

な秘密の匂いだ…たまらんな…エサ

に釣られた魚の姿を早く拝みたいも

のだが…ここからが魚との駆け引き

だ…ザコじゃない」


彼は楽しげに微笑んだ