「私は今のところヘマはやらかして
はいない…単に君の事件との関連を
捜査上のルーチンとして追っている
という姿勢が完璧に仕組まれている
逆にコソコソしていない分だけ上か
らの圧力が返って掛けにくい状態に
持っていってある…」
彼は近くのウェイターを呼んで
ブレンドのおかわりを頼んだ
「…上司の口調からして…これは私
程度の立場の人間は容易に潰せるし
なかったことに出来る…そんなニュ
アンスだったな…人を脅すのは私は
馴れているがあの物言いは圧倒的な
アドバンテージを背負っている人間
の言い方だ」
彼はさも面白そうに笑った
「なにか…つかんだから?」
僕はたまらず彼に尋ねた
「正確にはつかもうというベクトル
をそこに向けただけなんだがな」
彼は苦笑した
「そこで横槍だ…チキンの仕業だ」
「なぜ?…何をしたの?」
彼は核心的な笑みを浮かべた
「失踪届け出のいくつかを調べてい
た…君の兄さんの失踪の日付の付近
とか地域の失踪事件など…それから
そのファイルの閲覧者についても含
めて…誰がいつ何を見たか交番の巡
査に聞き取りをしたり…パソコンの
履歴なんかを調べていた…ルーチン
極まりない捜査…そう見えるように
敢えて正攻法でな…これには二重の
意味がある…1つは情報の収集…も
う1つは"撒き餌"だ…誰がいつ食い
ついて来るか…観察できる」



