「少しは…元気そうじゃん」

「うん…まあ…ね」

ヤツもきまりが悪いのか

いつものキレはない

ヤツは少し黙った

耐え難い沈黙が流れた

僕も何も言えず黙ったまま

布団を握りしめていた



意を決したようにヤツが口を開いた

「聞いたよ…お前のお母さんから…

シド・ヴィシャスになり損ねたな」

するとヤツは椅子を蹴って立ち

ベッドの僕に猛然と近づくと

いきなり僕の胸ぐらをつかんだ

「う…な…なんだよ」

「うるせぇ!心配させやがって…!

痛々しくて…お前見てらんねぇだろ

ーがよ!」

「…ごめん」

僕はようやくまともなことが言えた



コイツには謝らなければならない

あのときのことを思い出すたびに

胸が詰まった



「…ごめん…本当にごめん…あんな

に…止めてくれたのに…僕は…引き

返せなかった…ずっと…謝りたかっ

たのに…おまえに悪くて…合わす顔

なくて…会えなかった」

「ばっか…お前…ばっか…大バカ」

僕は胸ぐらをつかまれながら

脱力して天井を見上げていた

「…あんな…汚れたら…もう合わせ

る顔が…ないよ…」

「いいんだよそんなの…Sex・Drug

Punksだろ…だけどよ…死ぬなよ!

近くで見てるのは痛いんだよ…痛す

ぎだよ…離れて見てれば伝説だけど

よ…シドとかさ…カート・コバーン

とか…でもな…オレこの前までその

リアリティがなかった…反省だよ…

悔しくてさオレ…クソぉ…!」


胸ぐらをつかみながらヤツは

なんか支離滅裂なことを言った