「無い物ねだりだな君は…彼だから

愛し合ったんだ…君の兄さんもそう

だ…」

「でも…兄貴の親父さんはそれで兄

貴を苦しめた…兄貴だけじゃなく母

も…僕も…ね…だから兄貴を幸せに

できるのは…他人なんだ…なのに僕

はやっぱり血で兄貴を苦しませた

いなくなったのはそれに耐えられな

かったからかも知れない…もう兄貴

は自分を許してたと思ってたのに…

あなたの言った通りだよ…僕たちの

血は…呪われてるんだ」

それは兄にも言ったことのない

僕の中の思いだった

彼は虚ろに答えた

「…特殊なケースだとは認める…だ

が…当事者ではわからないもんなん

だな…第三者の私には明白なのに」

彼はそのままの形で固まっていた

「呪いならまだ救われる…だが君ら

の結びつきは…」

彼はそこで言葉を切った

「…もういい…これ以上私が聞きた

くない」

彼は悲しげな顔をした

「それで…?」

しかし彼はまだ何か僕に

尋ねるつもりでいた

「今回は…なぜだ?」

彼の口調に怒気を感じた

「今回も君は失敗したな…兄さんは

君が命を掛けても戻らないようだ」



それを聞いて僕は凍りついた

…違う

いま取り戻したいのは

戻ってほしかったのは



「ごめんなさい…僕は…僕は…」



あなたに

逢いたかった