「わかった…」
彼は小さく呟いた
「最初は錠剤だったのか?」
「そう…それから…シャブに…」
彼は上着の内ポケットから
いつものカラフルな錠剤のシートを
取り出した
「それ…それを…入れて」
僕はその手にすがった
「入れる…?座薬に使ったのか…」
「してる最中に…下から…入れられ
るん…だ…」
「そうだったか…」
彼は少し黙った
「ひとつ訊く…君は自分からクスリ
にのめり込んだのか?」
僕は首を横に振った
「…最初は酒に混ぜられたなにかを
飲まされて…知らないうちに中毒に
なっていて…でも…」
僕は混乱した頭で半年ほど前の
あのライブハウスでのあいつとの
ことを思い出していた
「クスリより…淋しくて…死にそう
だった…からだ…よ…好きでもない
男に…抱かれて…たんだ」
でも僕はあの時引き返せたんだ
親友が捨て身で止めてくれた
なのに…
「抱かれているうちに…もっと良い
のがあるって…無理矢理入れられて
それから…気持ちまで…冒された
その錠剤…だよ…監禁される前から
もう…ずっとそれを…」
「そうか…だが…」
彼は不思議そうに尋ねた
「君の兄さんはどうしたんだ?」



