失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】




「なんで…なんであの男の組織にい

たの?…どうやって僕を見つけられ

たの?」

彼は一瞬動きを止めた

だが思い直したように僕のとなりに

腰をおろした

「それは…君が回復したあとで説明

するから…その前にエスの禁断症状

を緩和しよう…これを飲め」

「エス…?」

「シャブのことだ…きっと他のも

入れられてるだろうが…」

彼はポケットから錠剤を出した

「抗ウツ剤だ…シャブの治療に使う

ヤツだ」

彼は有無を言わせず僕の口に錠剤を

押し込んだ

「水だ」

コップを手渡される

手が震えて水がこぼれた

彼の手が僕からコップを奪い

替わりに飲ませてくれる

錠剤を飲み下したのを見て

彼はコップをテーブルに置いた

「食事…いつ摂った?」

最後に食べたのはいつだったか?

よく思い出せなかった