全身の脱力感と震えでまともに
歩くことすら出来ない
彼は部屋まで僕を抱えて運び
入り口の側のソファーに座らせた
僕は意識すらまともじゃなくなり
いま自分がどこに連れて来られたか
意味がわからなくなりかけていた
それでも彼がいまここに生きて
僕を助けてくれたという奇跡が
僕の崩壊をとどまらせていた
「ひどいな…どれくらい盛られたん
だ?」
ソファーに僕を横たえながら
彼はため息をついた
「いま…何月?何日?」
「3月10日だ」
「そ…う…」
「カレンダーもなかったのか…」
「時計も…なかった…」
彼はホテルのコップに水を入れて
僕のところまで持ってきた
言いたいことも訊きたいことも
多すぎてなにを言えば良いのか
わからなかった
でも…なんで彼はあの客の部下に?
「なんで…?」
それを訊かずにはいられなかった



