「悠斗っ!」



昇降口に付くと、三条さんが居た。



「やっぱり、体調優れなくて………。一緒に帰ってくれる?」



え_______。



めんどくさいと言っておきながら、心の何処かで楽しみにしていた私。



「ごめん。俺、今から珠理とデートなんだわ」


「お願い。1人じゃ怖くて…………」


「だったら、今おばさんに連絡してやるよ」


「今日、お母さん居ないの」


「でも………」



ヤダよ。



私だって悠斗に甘えたい。



今日位は甘えたかった。



何故か無性に悠斗が恋しかったんだ。



「お願い、悠斗…………」



台詞を言い終わると同時に、三条さんのバランスが崩れた。



危ない!



「琴羽!」



私が行動に出る前に、悠斗の方が早かった。



さっきまで強く握られていた左手。



三条さんが倒れそうになったら、簡単に私の手なんてすり抜けていった。



やっぱり、そうなんじゃん。



悠斗も、私が甘えようとすると離れて行っちゃうんだ。



皆そう。



私が甘えようとすると離れて行っちゃう。




だから嫌だったの。



馴れ合うだけの仲間なんて。




結局捨てられるのはいつも私。



『約束な』



そう言ったのは悠斗でしょ?



「珠理」



ヤダ。



聞きたくない。



「悪いけど、琴羽送ってく」



あ~あ。