嫌悪感を隠そうともしないわたしを見て、アイツはクックっとおかしそうに笑う。

「そういう物言いも良い。オレは知っての通り、普通の仕事をしていない。だからキモの座った女が良いんだ」

「…私は良くない」

「だが諦めろ。お前の家の借金をチャラにした上に、これからの仕事はオレから回すことになったんだ」

…コイツ、どんな人脈を持っているんだ?

確かに言った通り、借金は全て帳消し。

しかも工場には仕事が舞い込んできた。

おかげで今はフル活動しているみたいだけど…。

「う~」

枕を抱え込み、唸る。

確かに工場が潰れなかったおかげで、助かった従業員達は良いだろう。

問題はあのバカ親とコイツ。

最初見た時から、何か気に食わなかった。

強引で、自分勝手。

私は…結婚するなら、穏やかで優しい男の人が良かったのに…。

「お前だって、最終的にはオレを受け入れたんだ。だから諦めろ」

そう言って私の肩を掴んで引き寄せ、再び唇を奪ってくる。