やんわりと断った瞬間。 「……えっ?」 突然グイッと腕を引っ張られて、あたしは優輝の胸に思い切り顔をぶつけた。 「いったぁ……」 顔を歪めながら優輝を見上げた瞬間。 「……――道路の真ん中に突っ立ってんじゃねぇよ!!!」 自転車に二人乗りしていた高校生らしき制服のカップルがあたしの横を物凄いスピードで通り過ぎた。 「も~、たっくん運転荒すぎ~~!!」 「ちゃんと掴まってろよ~」 彼氏の背中にギュッと掴まって頬をぺたりとくっつける彼女。 雨に打たれても、すごくすごく幸せそうな二人。