「ねぇ、ここよく来んの?」 「えっ?」 「ここじゃあれだし、あっちで喋んない?」 会話がままならないフロアの中で、見知らぬ男があたしの耳に唇を寄せてそう囁いた。 「……――うん」 今思えば、頷いた時には目の前にいる自分よりも年上の達也に淡い恋心を抱いていた。