純恋〜スミレ〜【完】

「お父さんとお母さんに手紙書いたんだ。明日、読んでくれる?」


「明日?」


「そう。明日。約束だからね」


「分かったわ。気をつけてね」


「……――いってきます!!」


笑顔でそう言うと、玄関を飛び出す。


振り返ってしまわないように。


溢れそうになる涙をグッと堪えて。



お父さん、お母さん。


16年間育ててくれて、ありがとう。


あたしは……


お父さんとお母さんの子供に生まれて、本当に幸せでした。


もし、あたしに明日が来るのならば、


きっと親孝行して見せるから。


今まで迷惑をかけた分だけ……必ず。