純恋〜スミレ〜【完】

「純恋、もう出掛けるの?」


「うん」


「あんまり遅くならないうちに帰ってきなさいよ?」


「……――分かった」


いつもだったら、『うるさい』としか感じないお母さんの小言。


だけど今日はその言葉が温かい。


お母さんの小言には、いつだって愛が込められているから。


こんな状況にならなければ気付かなかったなんて、何だか皮肉だ。


だけど、ちゃんと気付けてよかったよ……。