純恋〜スミレ〜【完】

リビングには叶恋がいた。


「お姉ちゃん、もういくの?」


「うん」


「そっか!!楽しんできてね~!」


「叶恋も大悟君とデートでしょ?」


「……――もちろん!!」


この間の初デートで、二人ははれて付き合うことになったらしい。


嬉しそうに話す叶恋につられて、あたしまで嬉しくなった。


大悟君なら、きっと叶恋を幸せにしてくれる。


確信はないけれど、なぜかそんな気がする。



「叶恋、これ」


「ん?何これ?手紙?」


「そう。明日読んで」


「えー、今じゃダメなの!?」


「ダメ。もし今日読んだら、一生口聞いてやんないから」


「そんなのやだ!!も~……分かったよぉ……。明日まで我慢する!!」


あたしは唇を尖らせた叶恋の頭をポンポンッと叩いた。