どうして今まで気付くことができなかったんだろう。


家族4人、こうやって食卓を囲めることがこんなにも幸せなことだって。


こんなにも、


こんなにも……――。



「……――ゴメン、ちょっと悔しくなっちゃってさ」


「え?」


「ほら、ポテトサラダのことで喧嘩した時、あたしのほうがお姉ちゃんだからって叶恋に分けてあげたでしょ?それを思い出したら、何か悔しくて」


「ちょっと、お姉ちゃん!それ、根に持ちすぎだから」


「純恋ったら。心配して損しちゃったわ」


「ほらみんな、冷めないうちに食べよう!!」


あたしの言葉を真に受けたのかどうかは分からない。


ただ、みんなそれ以上あたしを追及してくることはなくて。




「……――お母さんの作るポテトサラダは世界一美味しいね」


あたしは涙を手の甲で拭うと、顔をグッと持ち上げて笑った。