純恋〜スミレ〜【完】


「ねぇ、純恋。今年はどうして家でパーティをしようなんて言いだしたの?」


「何となく。ただの気まぐれ」


ごめん、お母さん。


本当はただの気まぐれなんかじゃない。



「……そう。だけど、お父さんもお母さんも純恋がそう言ってくれてすごく嬉しかったの」


「嬉しかった?」


「純恋も叶恋ももう高校生でしょ?家族で過ごすよりクリスマスよりも、お友達と過ごした方が楽しいのは分かるの。だけど、やっぱり私達4人は家族だから。これからも年に何回かはこうやって……――」


「……――しようよ。来年も、再来年も、その次も。クリスマスイヴは家族で過ごそう」


「純恋……」


「お母さん、今までごめん。それと、いつもありがとう」


面と向かってこんなことを言う日が来るなんて思いもしなかった。


だけど、これが最後になるかもしれないから。


今言わなければ、きっと後悔する。


後回しになんて、できっこない。