純恋〜スミレ〜【完】

口うるさいし、しつこいし、干渉ばかりしてくるし。


ほんの少し前までは大好きでひと時たりとも離れていたくない存在だったお母さんが、急にウザくなって。


一緒に出掛けるところを誰かに見られるのも嫌で。


友達を家に連れてくると、毎回お菓子とジュースをお盆にのせて部屋までやってくるお母さん。


『いつも純恋と仲良くしてくれてありがとう。ゆっくりしていってね』


そう言って友達に微笑むお母さんが嫌で嫌で、あたしはすぐに部屋から追い出した。


今思えば、反抗期だったのかもしれない。


子供でもないし、だからといって大人でもない。


子供以上、大人未満。


心も体も、すごく不安定な時期。


そんな不安定なあたしをお母さんは怒るわけでも悲しむわけでもなく、いつも優しい眼差しで見守っていてくれた。