「浩哉……急にお見舞いに来て……ごめんね」


「いや、全然……。逆にミナが来てくれて嬉しいっていうか……なんていうか……」


「昨日は……ありがとう。浩哉がいなかったらあたし……――」


二人はどこか照れ臭そうにしながらも、何だかいい雰囲気。


お邪魔虫はさっさと退散しよう。



「じゃあ、また学校でね」


二人に別れを告げて病室を出る時、山城君の顔が目に飛び込んできた。


嬉しそうに笑う山城君。


山城君、よかったね……。


山城君の勇気、無駄になんてなっていないよ。



あたしも、勇気を出そう。


もう迷うことなんてない。


今、この瞬間に出来ることを


今やるだけ。


あたしは後ろ手に扉を閉めると、真っ直ぐ前を向いて歩き出した。