「そっか……。純恋もあの公園にいたんだな……」


優輝はひとり言のようにそう呟くと、あたしの体をギュッと抱きしめた。


「あの日、『あたし、もう優輝を追いかけるのやめる。後で後悔しても遅いんだから』って麗華に言われた」


「麗華さんに……?」


「あぁ。俺を振り向かせようとムキになってた自分に呆れたんだろうな」


「そっか……」


「だからもう、俺達には何の障害もない。兄貴の事故のことは……二人で乗り越えていこう」


「うん」


一人では出来ないことも、二人なら出来る気がして。


また、一から始めよう。




「つーか、純恋のスッピン見んの初めてだな」


「……へっ?」


そうだった……。


あたし慌てて家を飛び出したからスッピンで……――。


「み、見ないで!!」


「大丈夫だって。そんな変わんねぇよ」


「変わるから!!」


優輝の胸に顔を押し付けて見られないようにするあたし。


「スッピンも可愛いって」


「嘘!絶対、嘘!!」


「本当だって」


優輝の腕の中、すごくすごく温かい。


あたしは離れていた時間を埋めるように、優輝の体にギュッとしがみついた。