純恋〜スミレ〜【完】


「……優輝……」


あたし達の出会いのきっかけになった自販機で飲み物を買った優輝はそのままベンチに腰かけた。


そのベンチは、あたしが達也に罵られた場所でもあり優輝と付き合った想い出の場所でもあった。


あたしは優輝に気付かれないように、木の陰に身を隠す。



ねぇ、優輝。


この公園にきたのは何故なの……?


優輝は目と鼻の先にいるのに。


名前を呼んで、数十歩近付けば優輝と言葉をかわせるのに。


目を合わせられるのに。


優輝に、触れられるのに。


今は優輝をすごく遠くに感じるよ……。


しばらくすると、優輝はポケットから黒い携帯を取り出した。