純恋〜スミレ〜【完】


正直、優輝の気持ちを知るのが怖い。


今までのことが全て『偽り』だったと言われたら、立ち直れなくなってしまいそうで。



初めて抱きしめられた時に感じたあの温かくて優しいぬくもり。


渋りながらも一緒にプリクラを取ってくれたこと。


手を繋いで他愛もない話をしながら歩いた帰り道。


初めて二人で過ごした夏休み。


『彼氏と一緒にプールに行くのが夢だった』


って言ったあたしの夢をすぐに叶えてくれたこと。


あたしの水着姿を見て『それ、胸見えすぎじゃね? 』って少し不機嫌そうに言ったこと。


元カノの麗華さんを突き離して、あたしを守ってくれたこと。


初めて優輝の家にいったこと。


薄暗いベッドの中で愛を誓い合ったこと。


『愛してる』


っていう、あの言葉。


青いベンチで泣きじゃくるあたしの背中を何も言わずにずっと撫でてくれたこと。



優輝と離れてから、楽しかった思い出ばかりが頭をよぎって悲しくなる。


泣きたくなる。


叫びたくなる。


優輝に……会いたくなる……。