一瞬、時が止まったのかと思った。 シーンっと静まり返った空間に自分ひとりだけがポツリと取り残されてしまったような感覚。 目に映る物の全てが制止していて、耳には何の音も届かない。 ただ、 『どうして……?』 そんな言葉がグルグルと頭の中を駆け回る。 「この場所、見覚えあるでしょ?」 クックと喉を鳴らして笑う麗華さんは、まるで悪魔のよう。 どうしてあたしをこの場所に連れてきたのか、その理由は簡単だ。 麗華さんは5年前の事故のことを知っている……。