「……――イヤァァァ!!!」 ハッと目を覚ますと、そこは見慣れた白い天井だった。 夢……か。 そう気がついた時、背中がびっしょりと濡れていることに気がつく。 「ハァ……」 あたしはゆっくりとベッドから起き上がり、胸に手を当てて乱れた呼吸を整えた。 ……――5年前のあの日。 横断歩道を渡っていると事故に巻き込まれた。 見知らぬお兄さんに背中を押され、地面に頭を打ち付けて意識不明の状態で病院に運び込まれたあたし。 数日後、目を覚ましたあたしはあのお兄さんが亡くなったことを知った。