「でもさ、こんなこと言うのは不謹慎かもしれないけど、あたし、なんか嬉しかったな」 「嬉しかった……?」 ナナは机の上の鏡をパタンっと閉じてにっこりと笑う。 「そう。純恋っていっつも自分の殻に閉じこもって何でも一人でってところあったでしょ?人に弱さを見せたりしないっていうか」 「……うん」 そっか。やっぱり強がってたのバレてたんだ。 だけど、何だか不思議。 胸の中のシコリが消えてなくなっていくみたい。 心がふわりと軽くなる。