「ほら、行くよ」


そう言って叶恋の体を支えながら歩き出した時、かすかに鼻についた煙草の匂い。


その匂いに胸の奥の方から熱い気持ちが込み上げてきて。


そうだった。叶恋の彼氏の煙草も赤マルだった。


目頭が急激に熱くなる。


あたしは拳をギュッと握りしめて、溢れそうになる感情をグッと堪えた。


「……バカみたい」


「えっ!?お姉ちゃん、今…あだじのこと……バカって……――」


「バカにバカって言って悪い?」


「ひーどーいー!!!」