あたし以外の通行人もギョッとした表情で彼女を見る。


こんだけ大声で泣き叫んでれば、誰でも見るわ。


だけど、今のあたしには彼女がとてもうらやましかった。


あたしもああやって泣いてしまいたかった。


誰の目も気にせずにプライドも捨て去って。


大声で達也を罵る言葉を吐きながら、涙を流したかった。


泣き叫ぶ女の子があたしの横を通り過ぎる。



「……――叶恋(かれん)。何かあったの?」


あたしの姿なんてこれっぽっちも目に入ってなかった様子の叶恋。


一つ年下の妹。


「お、お……お姉ちゃぁ~ん!!!ウワァ~ン!!!」


声をかけると、叶恋は振り返るなりあたしの胸に飛び込んできた。