「いないと困ることでもあんのか?」 「別にそんなんじゃないけど」 「へぇ……。それならいいけど」 優輝はあたしの心を見透かしたように口の端を持ち上げて意地悪な笑みを浮かべる。 「……――っ」 ただそれだけのことなのに、ちょっぴり悔しくて。 「日焼けして背中ピリピリするから、これ塗ってくれる?」 あたしはちょっとした意地悪のつもりで、大きなカゴバッグから取り出したジェルの保湿剤を優輝の鼻先に押し付けた。