昼の時間の学食は当然、ものすごく混んでいる。



 トレーの上に、食器をのせて、こぼさないように歩くのって、私は苦手なんだけど・・・。

 こんな人ごみの中では、こぼしそうで、ぎこちなくのろのろとしか歩くことしかできない。



「・・・ふぇ」



 やっぱり、おいしそうだったからって、ラーメンなんてやめておけばよかった。

 歩くたびに、スープが右に左に、波のようになって、今にもこぼれてしまいそう。



 親友の理佳が、キープしてくれているテーブルまでが、とてもとても、遠く感じる。



「それじゃ、つくまでにのびる」



 今にも落としてしまいそうだったトレーを、横からのびてきた手がさっと支えてくれた。

 重さから解放されて、横を見るとそこにいるのは、やっぱり光くんだった。