ライは、兄の言わんとする事を何となく理解していた。


つまり、"痒いところに手が届く"そんな男がいい、と言うわけか。


少し考え込んで、


「女にそこまでしたいと思わねぇ…」


そう言い切ったライに、



「それは、まだ本気で好きになったことがないからだよ。

本気で好きになったら、幸せな想いと同じくらい、辛い思いもするからね。

それこそ、"自分以外見なければいいのに"そんな思いをするようになるさ」


そんな事を呟いて、リキは目を細めて笑う。


 うー、と考え込んでしまったライに、


「時がくれば、きっとライにもわかるようになるよ」 


そう言って、リキは「出かけてくる」と部屋を出ていった。




 1人、部屋に残されたライは、


「そんな女、いるのかねぇ」


と、何とも小学生らしくない呟きを残し、ベッドに横になるのだった―――。









~ある休日の午後、兄と弟の会話、了~