翌日、リキがまた少し早めに学校に行くと、静流は下駄箱で佇んでいた。
「椎葉、おはよ」
リキが後ろから声をかけると、静流はびくっと肩を揺らし、
「高瀬くんおはよ。昨日はありがとう」
静流は前と同じようににこっと微笑んで、携帯を掲げて見せる。
そこには、キラキラと光るシルバーのストラップが輝いていた。
「やっぱり、椎葉に似合うな」
リキは前髪を掻き上げながらそう言うと、静流の顔は真っ赤になって。
「高瀬くんって…」
そう呟く声に「ん?」とリキが首を傾げれば、静流は「なんでもない」、と俯いた。
リキは静流の耳から首まで真っ赤になっているのを知っていて、ばれないようにくすっと微笑む。
「ねえ椎葉、携帯番号教えて?」
いつもより少し甘めな声でそう問えば、静流は手に持ったままだった携帯を操作して、赤外線を向けてきて。
リキも携帯を操作して、番号交換は無事に終わった。
「ありがと。今度、メールしてい?」
少しだけ耳元に近付いてそう言えば、またまた真っ赤になって、静流は頷く。
そうこうしてるうちに、他の生徒も登校を始め、じゃあ、と軽く手を挙げてリキは先に教室へ向かった――。

![Sweet Honey Birthday[完]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.761/img/book/genre1.png)