革靴なんて走るために出来ていない。

 スーツは走るために向いていない。

 生地が擦れるからワイシャツの下にシャツなんて格好が悪いからって着ていない自分は馬鹿だった。

 スーツケースが邪魔だった。
 
 走るためには手を振るのだから、格好にこだわらずメッセンジャーバックは無いだろうなんて考えは改める。

 だからだから燃えていないでくれ。
 
 後悔だか懺悔だか願いだか祈りだか、そんな感情だか思考だかをない交ぜにしながらに走った、走った、走った。