すぐさま、その声がするところに走った。


真っ直ぐな歌声。

心地よいギターとキーボードの演奏。

心にぶち当たるのが分かった。


心の底にまで潜ってきてくれる感覚。


誰にも言えずに抱えるしかなかった。

助けなんて求められなかった。

そんな私を助けてくれたのは
彼らでした。


やさしく包んでくれたのは、
彼らでした。


演奏が終わった後、
CDを買ってサインまでしてもらって
すごい嬉しかった。


「ありがとうございます。」


自然と笑顔がこぼれた。


作り笑いなんかじゃなかった。

久しぶりに本当に笑った。



彼らは、
私に笑顔も取り戻してくれた。


「お母さん!
見て、サインもらった!!」


「良かったね!!
握手してきたら!?」


お母さんの言葉に押されて
彼らがいる場所に足を進めた。

「あっ…あの、
握手してください!!」

緊張で言葉がつまる。

「いいですよ。」