キミ色

パチパチと多彩な色を発して光る花火。
俺はそんな花火を持って、少し急な草むらに座っていた。


煙をあげてピカピカと光り続ける花火。
俺の目線の先には、はしゃぎ走り続ける聡クンと相手をしている蓮がいる。



負けないぐらいの笑顔でチャッカマンを握るその姿は、どこかあどけなくて…そしてどこか愛しい。



夜空にはさっきと打って変わって、多くはないが星が出ていた。
あんなに分厚かった雲は、どこへ行ってしまったのだろう?
ぽつぽつと光る星は暗闇に溶け込んでいる。



一通り終わったのか、蓮が俺のいる所まで走ってきた。
一生懸命坂を上ってくる。
聡クンは、線香花火を握っていた。



「よいっしょ!櫂!!線香花火、はい!!」


そう言って渡してきた線香花火に蓮は火を灯した。
俺の手の下で小さく光る線香花火。



「勝負だね!!ま、絶対あたしが勝つけど」


蓮は自分の線香花火にも火を灯すと、意地悪そうな笑みを浮かべて座った。


「蓮の方が点けんの遅かったじゃん!」


「そんな細かい事言わないの!!男でしょ?!」



「性別、関係ねぇだろ?!」