キミ色

「櫂…、何にも解ってない。全然解ってないよ!!」




空羽はその言葉を残すと、玄関の方向に走っていった。




何にも解ってない……?



なんだよ、それ…
どうゆう意味だよ…




呆然と立ち尽くしていると、リビングの扉が開き千鶴サンが慌てたように出てきた。




「空羽…?空羽!」




千鶴サンに続くようにお母さんも出てきた。




「櫂くんっ、もしかしてさっき出て行ったの…空羽ちゃん?」




1階から見上げて喋るお母さんに俺は何も言えなかった。




「千鶴、あたしが行くわ。
大丈夫よ、空羽ちゃんだってもう大きいんだから。」




そんな話をしているのが、小さく聞こえてきた。





なんでそんな大層なことなってんだよ…
あぁ、もう!
いらいらする。





…全然解ってないよ!!―…





頭の中で反芻する空羽の言葉…




ムカつく…ムカつく…
けど、なんか引っかかる…