キミ色

「やっぱり。あたし高1だもん。」


その言葉に俺の思考は止まってしまった。



大人っぽい服装や顔立ち、そしてこの身長。
美波さん程高くもないけど…、それでも俺より年上か少なくとも同年代だと思っていた。



まさか…年下?


「え……」



それしか言葉を出せなくて、俺は呆然としてしまった。
でも、そんな俺を見て急に泉さんは笑いだした。


「そんな表情しなくても。信じらんない?」


素直に頷くと、泉さんは俺を見て笑顔になった。



「でも、本当だかんね。だから、本当はあたしが敬語使わなきゃなんだよ、槻丘先輩?」



楽しそうに泉さんはそう言うと、1つのオーダー票を俺の目の前に差し出した。
されるがままに受け取る俺。



「ここだかんね、オーダー票の位置。じゃあ、あたし掃除しなきゃ。」



歩いて行く泉さんの後姿を見ても、やっぱりとても年下とは思えない…



あれで、高1?
世の中の男子は絶対騙されるな…



美波さんの友達だと言われても、別に納得できる。



俺は手に残っているオーダー票をポケットの中にしまい、オーナーのいるキッチンに向かった。