小学校からずっと学校が一緒の山口君。
特に仲がいいとか無いけど小中高一緒だとなんか親近感わくなぁ。
茶髪にしたんだぁ。気づかないはずだ。でも山口君って無口で笑わないしちょっと怖いかも。
と、山口君を見ると相変わらず不機嫌そうな顔。
『やっ山口君もこの学校だったんだ。なんか親近感わくなぁ』
そういって山口君を見れば見ただけで分かる迷惑そうな顔。
「親近感?」
目を細めて低く鈍い声で言う山口君にすぐに苛立ってるのが感じ取れる。
冗談だよ。冗談(泣)
でもいいじゃん。ちょっと位親近感わいたって…。
もう一回山口君を見ると不機嫌なのが見て取って分かる。
『あっ!山口君、駅前に喫茶店できたの知ってる?』
私が明るい顔で話の話題を変えて山口君を見ると
「知るかよ」
という冷たい言葉が私に降り注ぐ。この人といたら心が折れる…。
私はもう一回周りに知り合いがいないか確認し、いないことが分かるとこの人と喋るしかない事に心が泣く。
『やっ山口君って最近はやりのA〇B48って好き?』
必死に山口君の機嫌を直そうと時代の荒波に乗る私だが
「何で俺が好きなんだよ」
の冷たい一言。ですよね。はい。分かってました。返事分かってました。私。
そうなるとこの人、何になら興味があるんだろう。
『山口君って何が好きなの?』
私は山口君のほうへ椅子を向きなおし首をかしげた。
「無い」
そうですよね。
聞いた私が悪かった。仮に何かあっても私には教えてくれないよね。
「いや、あえて言うなら。ムーンダストが好きだ。」
山口君の予想外の返事に私は思わず山口君をガン見。
いや、ムーンダストとは何か知りもしないけど!なんか嬉しいなぁ、と。
「何にやけてんだよ。きもちわりぃ。」
山口君が私にしっしっと手で追い払う動作をする。
私はそれを軽く受け流し山口君の机に手を置く。
『山口君!ムーンダストってなぁに?』
山口君は少し悩んだ素振りを見せるとひらめいた様に私を見る。
「蓮。」