「‥優しいね柏」 僕は 柏にしか 聞こえないくらい 小さな声で言った 柏はクスッと 笑うと 小さな声で言う 「だろ?」 なんだか いつもと違う 話し方に 少しだけドキッとした 「音」 「なに?」 柏の声に応えると 柏はニッと笑い 「ありがとな」 と言った 「柏……僕の方こそ、ありがとう」 「庵にも言わないとな」 「うんっ」 僕と柏は 小さく笑った