「庵」



そんな庵の名前を


玖音は呼んだ




庵はゆっくりと


頭を上げた




「……俺は、お前のこと恨んでない」


「え‥」


「あの時はああするしかなかったんだろ?大丈夫だ…‥ちゃんと、分かってるから」


「くお…ん‥っ」



庵の瞳から


涙が溢れ出た



玖音はリオンと


顔を見合わせ


笑顔で


庵を抱きしめた




僕にも伝わる…


玖音の温もり



懐かしい玖音の…匂いだ…‥




「もう気にするな、庵」


「そうですよ、庵。僕等が見るべき世界は、今の世界でしょ」


「玖音……リオン‥」



リオンは


チラッと僕に


視線を向け…笑った