水曜日、放課後の会議室。


今日は、講義の日である。

皆が座っている机の上には、数枚の、
コートの絵がコピーされたものが、
置かれていた。


三田が、ホワイト・ボードの前に立ち、
講義を始める。


  「今まで、ツー・ワン・ツー・ゾーンを
   練習してきたが、これを、
   いろんな方面に、展開する」


三田は、ホワイト・ボードに、
コートの絵を描いた。


  「ここからは、頭の柔軟さが、
   必要となる。
   イメージを、膨らませろよ。

   まずは、センターラインで展開する」


そう言って、センター・サークルを、
フリースロー・サークルに見立てて、
制限区域を、描き込んだ。

それから、5人の位置を描いた。


  「どうだ、わかるか?」


そう言いながら三田は、描いた制限区域を
消した。


  「実際のコートには、ここは、
   何も描かれていないが、頭の中に、
   この、制限区域を、描くんだ。

   どうだ? イメージ、出来るか?」


三田が、皆を見回すと、
自信なさげな、皆の視線が、返って来た。