甲陽高校、体育館。


正月休みも明け、正月気分も抜けかけた頃

アップが終わると、三田が、皆を集めた。


  「よし、今日から、ゾーン対策をする。

   そのためには、まず、
   ゾーンを、知らなければならない。
   だから、今から、
   ゾーン・ディフェンスの練習をする。

   今からやるのは、
   ツー・ワン・ツー・ゾーンだ。
   これを、基本とする」


梨沙が、ホワイトボードを、引っ張って来た

三田は、それに、コートの絵を描き、


  「このゾーンは、ウチも使うから、
   しっかり、覚えてくれ」


と言うと、オフェンスとディフェンスを、
そこに、描き込んだ。


  「今まで、いろいろ、
   教えられてきたと思うが、
   それらは、すべて忘れて、
   新たにこれを、覚えてくれ。

   まずは、基本概念からだ」


三田は、大きな丸を書き、


  「ゾーンは、人ではなく、エリアを守る
   各自の責任範囲は、これだ。
   これは、絶対ではなく、最低限、
   これだけは、守らねばならない。

   この、エリアがダブっている所は、
   ウィーク・ポイントだ。
   だから、複数で、守るんだ」


三田は、ダブっている所を、赤で囲んだ。


  「だから、この、センターの責任は、
   重大だ」


三田は、ニッコリして、


  「ユリ、ちゃんと、覚えろよ」


  「はい」


真剣な顔で、ボードを見る、友理。