拝殿から下りて来ると、例年のごとく梨沙が


  「ねっ、ねっ、何、お願いしたの?

   私は、“インターハイへ、
   行けますように”って」


と、ドヤ顔で、言った。


  「リサぁ、真面目やん」


  「そうだよ。マネージャーなんだから、
   みんなの願いを、サポートするのも、
   仕事だもん」


  「おっ、リサ、偉いっ!」


  「えっへん」


梨沙は、胸を張った。


  「私も、“行けますように”って」

  「私も」

  「私も」

  「ウチも」


皆、願う事は、一緒だった。


  「よーし、インターハイへ行くぞぉ」


佐紀は、ガッツ・ポーズをした。


  「ヨッシ」


すると、皆も、


  「ヨッシ」

  「ハハハハハ」


  「さっ、何か、食べよっ」


やはり、育ち盛りの女子高生、
食欲には、勝てないようである。



里香と歩美は、華子に、


  「今年は、着物でも、
   よかったんじゃない?」


  「そうですわね」


  「リサ、走れないじゃん」


  「ちょっと、読みが、
   浅かったですわね」