三田は、コーチすると言ったが、
1度来たきりで、
それっきり、出て来なかった。


次に来たのは、
もう、12月に入ってからだった。

三田の後ろから、梨沙も入って来た。

まだ、ギブスをしていて、
少し、びっこを引いているが、
松葉杖は、もうなかった。


  「こんにちはー」


皆が、三田の前に集まって来た。


  「俺も、毎日は、来られない。

   だから、新たに、
   マネージャーを、置くことにする」


そう言って、三田が、一歩横に寄ると、
後ろにいた梨沙が、頬に指を当て、


  「マネージャーの、菅谷梨沙どぇーす」


皆の間に、シラーッとした空気が、流れた。


  「どうしたの?、もっと、感激してよ、
   さっ、さっ」


すると、佐紀が、


  「リサ、マネージャー、
   やってくれるんだ」


  「うん」


  「バスケは、どうすんの?」


  「お医者さんに訊いたら、
   どうも、間に合わないみたいじゃん。

   だったら、裏方として、
   みんなを、支えようと思って」


  「リサ、偉いっ!」


  「えっへん」


そう言って、梨沙は、胸を張った。