三田は、あまり長居しても、
仕事の邪魔になると思い、


  「じゃあ、明日、顔を出してみます」


そう言って、帰ろうとした。

すると、坂井が、


  「おっ、そうだ。
   ちょっと、待ってくれ」


そう言って、奥から、
1冊のノートを持ってきた。


  「これは、ワシなりに考えた、
   あいつらの、プランだ。

   別にこれは、気にせんでいいから、
   好きに、やってくれ。

   まっ、参考になればと、思ってな」


そう言って、三田に、ノートを渡した。


  「ありがとうございます。
   助かります」


三田は、ノートを受け取ると、
後ろから、パラパラと、めくってみた。

コートの絵が、描かれていて、
いろんな動線が、書いてある。

さらに、めくって行き、一番最初のページで
三田の手が止まった。

そこには、佐紀達の性格や特徴が、
書かれていた。


  「坂井さん、これは……」


  「ああ、ワシが、感じた事を、
   書いたんだが、当っているかどうかは
   わからんぞ」


  「いえ、よく、捉えてます」


  「それが、わからなきゃ、
   どう組立てていいかも、
   わからんからな」


  「そうですね。ありがとうございます。
   参考に、させてもらいます」