それから、数日が経ったある日。

佐紀達が、体育館で、練習していると、
入り口に、三田が現れた。


  「えっ、コーチ」


佐紀が、三田に気づき、走って行く。


  「こんにちはー」


  「おっ」


  「今日は、どうしたんですか?」


  「ちょっと、みんなを、
   集めてくれるかな」


  「はいっ、集合―」


皆が、三田の元に集まった。

雅美が、


  「コーチ、どうしたんですか?」


三田は、険しい顔になって、


  「坂井さんから、君たちを見てやれと、
   言われてな」


  「えっ、じゃあ、坂井コーチは?」


  「君達には、ほとほと愛想が尽きたから
   もう、見たくないそうだ」


佐紀が、悲しそうに、


  「そうですか」


  「新人戦、ボロボロだったそうだな」


  「はい、私が、悪いんです」


  「そんな事ないよ。私だって」


三田は、深刻な顔をして、


  「前代未聞のチームらしいな。

   もう、めんどう見切れんから、
   好きにしていいと、言われたぞ」


佐紀は、もう、泣きそうな顔で、


  「すみません」


  「まあ、いい。
   過ぎた事は、言ったって、
   仕方ないからな。

   コーチがいないのも何だから、
   後を、俺が、見る事にする。

   まっ、しばらくは、坂井さんの練習で
   行ってくれ」


  「はい、わかりました」


三田は、そう言うと、帰って行った。